『告白』私がマッサージ業に絶望した理由 

マッサージ業に絶望した理由

はじめに

首や肩のコリを感じたときには、ついマッサージで、凝っているところを揉み解したくなりますよね。分かります、その気持ち。

私自身、鍼灸マッサージの専門学校に通っていた時、ひどい肩や背中のこりに困ったことがありました。当時、凝っている背中を、柱にグリグリ押し当てて、何とか気を紛らわせていました。

私は、はり師・きゅう師・マッサージ師としての国家資格を有しながらも、現在のメインは、鍼灸師としての活動です。

なぜ、マッサージ師としての活動を行っていないのか、「鍼灸で十分だから」と、この一言に尽きますが、その裏には、私自身、マッサージ業に絶望した過去を経験してきたからです。

そこで、患者、そして術者、2つの立場を経験した、極めて、個人的な経験による結論であることをお断りしたうえで、これから「マッサージ業に絶望した」話を進めていきます。

患者側としての経験

プロフィールにも記載しているように、私自身、鍼灸マッサージの専門学校時代の20代半の2年時の夏、自律神経の乱れで、ひどい肩こりに悩まされた時期がありました。

マッサージの専門学校に行っている訳ですから、マッサージ師の可能性を自分の体で感じる意味でも、マッサージで自分の肩こりを良くしたいと思ったのは、当時の素直な気持ちです。

そこで、専門学校併設の施術ルームで、マッサージの授業を持たれている先生の施術を、週1~2回、半年ほど受けさせてもらいました。

果たして、その結果は⁉…

ほとんどといって、解消されませんでした…。当時、スポーツトレーナーとしての夢を捨てきっていた訳ではありませんでした。

だから、

「マッサージで一般の肩コリが良くならないなら、スポーツ選手の故障には、なおさら対応できるわけないだろう?」

とマッサージ師しての将来に不安を感じていたことが、今でも思い出されます。

マッサージ師としての立場から

マッサージ師としての1年間

そう思いながらも、私自身、学生時代、アルバイトとして、2年間はサウナで、卒業後、1年間、東京の接骨院やマッサージ施設で、マッサージの業務をしてきました。

たとえば、出張マッサージになると、90分、2時間、ときには3時間といったオーダーもありました(3時間連続のマッサージは、さすがに飽きます…)。

お客さんがマッサージに求めるもの(ニーズ)は、「首・肩こりは不快感をどうにかしたい」という想いに端を発しています。でも、そのニーズの行き着く先は、マッサージを受けている時間やその後の少しの時間だけでも、不快感が紛れればいい、といったものが、ほとんどではないでしょうか。

つまり、お客さんのマッサージを受ける意図は、首・肩こりを根本的に解消したい、というものではなく、慰安的な欲求に重点がある、ということです。

このように、日本のマッサージ業は、そもそも、

マッサージに医療的な価値を求めている人が少ない。だから、術者は、医療的価値をもたせる施術を提供しにくい

といった環境下で、マッサージが行われます。これが1年間、マッサージ師として活動した、マッサージ業界に対して抱いた実感でした。

仕事に『誇り』を持てるか?

プライド

そういったマッサージ業界を巡る環境のもと、施術者側が、いくら首・肩こりの原因を解消する、医療的なマッサージをしたくても、受け手のお客さん側に、その欲求がなければ、施術者側のその動機は、独りよがりなものになってしまいます。

実際に、私自身、マッサージ師として活動していたとき、一方では、「体を触るんだから、鍼で体の状況を見極めるための訓練」と思いながらも、他方では、お客さん慰安のニーズに応えつつ、いかに60分や90分という施術時間を潰すか、といった中途半端な気持ちでマッサージをしていました。

こんな気持ちでマッサージをしていたので、施術後、お客さんに「気持ちよかった」と言われると嬉しいと感じていた反面、内心は、素直には喜べていませんでした。

自分の仕事に対して、心から喜びを感じられなければ、仕事に誇りを持てません。仕事に誇りを持てなければ、当然、その技術を伸ばそうとする意欲が湧きません。

ただ、「関西に移り住む資金稼ぎのため、今だけのガマン」と割り切るようにしました。それからは、慰安を求めている方には慰安用、少しでも楽になりたいという方には、医療的要素を含めたマッサージのやり方に切り替えました。

こうしたやり方を、いいように表現すれば、お客さんのニーズに応えるマッサージと言えますが、その根っこは、マッサージ業に対する、諦め、絶望しかありませんでした。

こうした葛藤を経験してきたらこそ、現在の鍼灸をできる状況が、なおさら、ありがたく感じられます。

リラクゼーション施設の増加

私が、専門学校を卒業した2001年前後ごろから、徐々にリラクゼーション施設の数が増えてきました。実際に、2002年に、

「治療」か「癒し」か?生き残りを賭けた渋谷マッサージ・ビジネスの差別化事情

といった記事が発信されています。

また、2012年度の厚生労働省の資料にはなりますが、

・あん摩、マッサージ及び指圧を行う施術所:19,880
・あん摩、マッサージ及び指圧、はり並びにきゅうを行う施術所:37,185
(はり及びきゅうを行う施術所:23,145)

に対し、

・整体、カイロプラクティック、リラクゼーションサロ等の施術所数:7万6,430

といった、データーがあります。

このデーターから分かる通り、有資格者であるマッサージ師の施術所より、無資格者が行っているマッサージ施設の方が、数的に圧倒的に多いのです。

更に、大手の会社運営による、いわゆる”格安マッサージ施設の乱立”も含めた、マッサージ業界の実態から、私自身、マッサージという”仕事”に対して、全く魅力を感じなくなりました。

元々、日本には、按摩・指圧など、いわゆる”揉み療治”といわれる職種があります。例えば、浪越指圧や増永指圧には、一部の海外の人に愛好家がいるほど、日本の”揉み療治”は、慰安的要素はあるものの、医療的要素も備わっている施術です

しかし、現在の日本では、医療的要素がある”揉み療治”が、一般には浸透していません。

リラックスできないリラクゼーション施設

私が、マッサージ業務から離れて、鍼灸師としての活動に専念するようになったのは、2002年です。

そして、2020年の現在、マッサージ業界は、どう変化したのでしょうか?実際、細かく調査した訳ではないので詳細は分かりかねますが、恐らく、状況は変わっていないでしょう。

それどころか、「リラクゼーション業界、リラクゼーションとは程遠い過酷な実態」に記載されているように、施術者の労働環境は、劣悪になっているそうです。

劣悪な労働環境下で行われるマッサージで、リラクゼーション的価値を提供できるでしょうか。それどころか、「マッサージを受けてから、余計にひどくなった」というような、笑うに笑えない話は、この劣悪な労働環境も、一定、関与していることでしょう。

結論

以上、大きくは、日本のマッサージ業が置かれている実態と、そして私自身のマッサージ師としての個人的な経験、この2つの観点から、

マッサージ師は医療的な価値を持つマッサージの技術を提供しにくい、だから、マッサージでは、ガンコな首・肩こりを解消できない

という、マッサージ業に対して、私が出した一つの結論です。

と言っても、「私は、やっぱりマッサージが好きだ」という方もいらっしゃるでしょう。「誰かに触れられていると、ホッとする」という場合もあるので、マッサージに慰安的・娯楽的要素を求めるなら、マッサージを是非、受けてください。

そのうえで、最後に、私が言いたいこと…もし、あなたがガンコな首・肩こりでお悩みになった場合に…

 

 

 

それでも、あなたは、
マッサージを受けますか?

 

 

 

 

マッサージの効果についての補足

ここで、「ガンコな首・肩こりは、マッサージで絶対に効かない」と言っているわけではないことを、補足しておきます。

「ガンコな首・肩こり」のページで説明しましたように、疲れの原因を踏まえたうえでのマッサージであれば、ガンコな首・肩こりでも解消させられます。

また、一流の武術家のように、「触れ方」が卓越していくと、原因はどうあれ、その人が触れることで体の芯からの疲れを取り、結果、ガンコな首・肩こりを解消させられる施術者が存在しています。

しかし、巷の接骨院・リラクゼーション施設では、そういった触れ方に卓越した技術を持った人に、滅多にお目に掛かれないことを、頭の片隅に入れておいてください。

もし、マッサージでは届かない「ガンコな首・肩こり」を解消したいなら…について詳しくはこちら

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