漢方医学からみた、3つの花粉症&慢性鼻炎体質とは

漢方医学からみた、3つの花粉症体質とは

前回、花粉症解消たのために大切なのは、花粉症の主役を、「花粉」ではなく、原因に近い「あなた」のカラダに置くことが大事、とお伝えしました。

それは、外部要因の「花粉などのアレルゲン」は、鼻炎のきっかけで、マスク・うがいなど以外、コントロールできないからです。

コントロールできるのは、あなた自身、すなわち、粘膜が敏感な状態になっている「あなたのお体」に対してです。

 

だから、「粘膜の敏感な状態」に至る、大本の「内臓の疲れ」を解消することが、本当の意味での「花粉症&慢性鼻炎」の根本カイゼンに繋がります。

では、花粉症の要因となる「内臓の疲れ」とは何か?

数ある候補の中で、今回、よく見られる3つの体質に絞って、ご紹介します。

その3つの体質とは、

 

①「胃腸の水毒+カゼ症状」タイプ

②「胸郭内の熱」タイプ

③「胃熱⇒肺熱」タイプ

 

になります。これらは、それぞれ

 

①元々、胃腸が弱い人が、冷飲食などで胃に負担をかけてしまっている

②社会生活・人間関係のストレス。特に、人と人の間で、何かの板挟みになっている

③普段は元気に過ごせ、仕事は割と頑張りながらも、夜遅くまで飲み食いを繰り返している

 

といったことで、内臓に負担がかかっている状態です。いずれもタイプは異なりますが、それぞれに粘膜や横隔膜が敏感になる要因になります。

大きな分類でいうと、①が寒タイプ、②③が熱タイプです。これら基本の3分類について、これから解説します。

①「胃腸の水毒+カゼ症状」タイプ

「胃腸の水毒+カゼ症状」タイプの花粉症は、次のような特徴があります。

 

  • ある意味、花粉症の初期段階
  • 比較的、一貫して、無色透明の水のような、サラサラした鼻水
  • くしゃみが、一日何度も出る
  • カラダが冷えると、悪化しやすい
  • 朝起きてから、しばらくひどい

「胃」は、食べ物を消化したものを、気血水のエネルギーに全身に送る場です。私たちの肉体は、この気血水によって、形作られます。つまり、私たちの全身は、「胃が供給するエネルギー(胃の気)」によって養われています。

胃の消化機能を助ける、たとえば、脾や腎の臓などの機能低下により、水分代謝が悪くなると、胃腸に「水毒」といわれる、水本来の機能を失った病理産物が停滞します。

 

この「水毒」が胃腸に溜まることによって、胃のはたらきが低下することに。すると、

●体が疲れやすくなる
●お腹がポチャポチャする

●冷え性
●体の抵抗力が落ちて、しょっちゅうカゼを引きやすくなる

といったことが、起きやすくなります。

 

秋・冬は、1年の疲れがまとめて出やすい季節、その時期に消化器に負担を掛けることがありませんでしたか?

②「胸郭内の熱」タイプ

「胸郭内の熱」タイプの花粉症は、次のような特徴があります。

 

  • 最初、透明な鼻水だが、時間経過と共に黄色~緑色に変化する、粘り気のある濃い鼻水
  •  鼻がつまって、鼻水が出にくい
  •  頬~前頭部の痛みや頭重感
  •  慢性化して、治りづらい
  •  肌荒れやのどの炎症もある
  •  慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)もある

その他の特徴として…

肝の臓の熱の大本にあります。「肝うつ気滞」については、「ガンコな首・肩こり」や「ひどい頭痛」でも、ご紹介しました。
首・肩こり、頭痛

怒りや悩みなどストレスが過度になると、体の過緊張をもたらします。それにより、気の流れが悪くなります。この気の流れのうっ滞を「気滞」と表現します。

また、精神的な緊張以外に、ご自身のガマンの限界近くまで、ものごとを続けることも、気滞を引き起こす要因になります。要するに、気滞の一つの側面として、「ガンバリ過ぎ」の状態です。

このような、過度なストレス状態、あるいは「ガンバリ過ぎ」状態を、専門的に、「肝うつ気滞」、略して肝うつと言います。

 

「肝うつ」が長期化すると、肝の臓が熱化し、その熱が横隔膜を経由して、胸郭内に飛び火します。

③「胃熱⇒肺熱」タイプ

「胃熱+肺熱」タイプの花粉症は、次のような特徴があります。

 

  • 鼻の乾燥感があり、鼻づまりが著しい
  • 匂いが分かりずらい
  • 鼻が赤く、熱感がある
  • 黄色~緑色の着色した膿性の鼻水
  • ネバネバした鼻水
  • 慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)に移行の可能性

その他の特徴として…

前頭部を中心とする頭痛を伴う

お肉・揚げ物など、味付けが濃い、いわゆる、コッテリ系の過食、飲酒の多量摂取など、飲食の不摂生が重なると胃腸粘膜が充血し、熱がこもりやすくなります。

胃腸粘膜に熱がこもることで、食道の粘膜や、近くを走行する気道粘膜にも熱が波及します。そして、その結果、呼吸器である肺そのものに熱がこもりやすくなります。

さいごに

さいごに

以上、よくみる3つの花粉症のタイプを、ご紹介しました。あなたに当てはまる、花粉症の症状がありましたか?

実際の臨床では、ここで説明したように、単純ではありません。①~③、いずれかの混合であったり、その他の要因も考えられます。

ここまでの話をまとめますと、飲食による胃腸の負担、ストレスがある状態で、外からの変化に敏感に反応して体を守ってくれているのが、気道~鼻粘膜や横隔膜です。

 

気道粘膜や横隔膜で異物に対して抵抗する際に生じるのが、炎症です。

炎症は、充血して、毛細血管に熱がこもった状態です。鼻の毛細血管に熱がこもると、鼻がつまったり、逆に熱を冷まそうとして、体内の水が寄ってきます。

これが、鼻づまり、鼻水の正体で、その状況を排除しようとして、くしゃみが出るのです。

 

こういった体内部の状況は、体のツボに現れています。

ツボを通じて、表面の炎症を抑えながらも、炎症が起きる大本の内臓の問題を解決するのが、漢方鍼灸の施術の流儀になります。

もし、あなたが、今年の春、花粉症を克服したければ、当院に一度、ご相談ください。

漢方鍼灸院 大阪市てんま吉祥堂