アトピー④ どうすれば、アトピー体質を改善できるか?

どうすれば、アトピー体質を改善できるか?

漢方医学では、お一人お一人の皮膚の状況に合わせた施術を行います。

それには、まず、皮膚の乾燥・赤味・黒ずみ、湿疹の凹凸、痒みの出る時間帯、増悪・緩解要因などアトピー症状による皮膚の損傷状況を詳しく確認いたします。

 

それから、アトピー症状を生み出す要因を、内臓機能を中心に全身状況と総合したうえで漢方医学的にアトピー体質の分析を行います。

漢方鍼灸を行うことで、ステロイドを適宜使いながら、脱ステロイドによるリバウンドの影響を極力少なくしていくことが可能です。

最終的にステロイド剤に頼らなくとも平気な状態、つまりアトピー体質の改善を目指していきます。

それでは、漢方医学では、アトピーという皮膚の炎症症状を、どのような見解があるのか、次にご説明します。

アトピーとは、皮膚を舞台とする正気と邪気の仁義なき戦い

皮膚を舞台とする正気と邪気の仁義なき戦い

漢方医学では、アトピー性皮膚炎・蕁麻疹に限らず、皮膚の炎症症状を、「皮膚の生理機能=正気(味方)VS体内毒素=邪気(敵)」闘争の構図として捉えています。

この正邪闘争は、免疫反応に相当します。

カラダの中で闘争が行われている訳ですから、闘争に負けないためには、施術戦略として、

 

体内の味方と敵の戦力比較

 

が重要です。

 

この場合、味方は、体のエネルギーの総称である正気

敵は、体に対してダメージを与える邪気

に、それぞれ相当します。

 

味方の用兵が少なければ増やす、反対に、敵の用兵が多ければ駆逐する、

これらの施術戦術を、専門的に、前者を補法、後者を瀉法と表現します。

補法か瀉法、あるいは補瀉両用、漢方医学の戦術は、大きくいって、この3つだけです。

状況に応じて、適切に補法と瀉法を行うことで、この邪正闘争に打ち勝つようにもっていきます。
邪正闘争に打ち勝つといっても、ステロイド剤のように、炎症作用や免疫作用を抑制する訳ではありません。

体内毒素(病理産物)である邪気を、自然に体外に排泄できるようにもっていく、これが「邪正闘争」の目的、そして漢方医学における施術戦略になります。

それを現実化していくために、術者は次に説明することを前提にして、邪正闘争の状況を把握していきます。

内臓に支えられている皮膚の生理機能

主な皮膚の生理機能は、内と外を隔てる境界となるバリア機能です。

皮膚のバリア機能があるおかげで、気象条件・社会環境・人間関係など外部環境の変化に応じて、体の内部環境が一定に保てます。

このバリア機能のメインは、

 

汗腺の開閉による体表温度の調整

皮膚表面の緊張・弛緩の調整

皮膚の一定の潤い

 

の3つです。

この皮膚のバリア機能は、内臓、そして気血水のエネルギーの作用が必要です。

 

では、皮膚は内臓、そして人体のエネルギーにどのように支えられているのかを、次にみていきましょう。

皮膚と直接的に関わる内臓は、です。肺の状態が皮膚の質に大いに関わります。

汗腺の開閉に関わるのは、体表面を流れる防衛する気である衛気です。

衛気の流れを調整しているのが、泌尿器系統の腎膀胱です。

また、肺も皮膚を通じて衛気と関りがあります。

 

その衛気は、そもそも、消化器系統の脾胃によって生成されます。

そして、皮膚表面の緊張・弛緩は、(肝気)が関わります。

 

そして、皮下組織に潤いや栄養を与えるのが、毛細血管中のや、リンパ管中のです。

毛細血管中の血に熱を持てば、皮下組織を通じて、皮膚に炎症症状が現れやすくなります。

リンパ管中の水が少なくなれば、皮膚が乾燥しやすくなります。

 

上記記載のいずれの内臓の機能低下が落ちると、皮膚機能にも何らかの影響を及びやすくなります。

アトピー性皮膚炎・蕁麻疹などの皮膚疾患を施術する際、皮膚の状況をみながら、これらの臓腑機能との兼ね合いを検討することが重要です。

体内の邪気=毒素

体には、汗・大便・小便といった、老廃物の排泄経路があります。

何らかの要因で排泄経路に異常が生じることで、生理的な老廃物が排泄されずに残留した状況が長期化すると、次第に病理的な体内毒素に転化します。

 

この体内毒素をいかに解毒できるかが、アトピー性皮膚炎の治療におけるポイントです。

それには、予め、体内毒素が発生する要因を知っておくことが重要です。

 

以下に、その先天的要因・後天的要因を挙げます。

幼少期からのアトピー~先天的要因

先天的要因は乳幼児期からのアトピー性皮膚炎です。

先天的要因と言いますと、遺伝的素因が考えられます。

 

また、両親ともにアトピー性皮膚炎でなくても、お子様がアトピー性皮膚炎になる場合があります。

この場合、考えられる要因として妊娠時の母体状況の影響が考えられます。

 

ではどの様な状況になると、お子様がアトピー性皮膚炎になりやすくなるのでしょうか?

それは母親が妊娠時に大きなストレスを抱えていたり、脂っこいものや甘いものなどの食べ物の多く摂取することです。

長期に渡るストレスは内熱、飲食の不摂生は湿(湿熱)となって、身体に溜まります。

 

通常、胎児の成長のために母親から濃縮した栄養分が送られます。その栄養分の中に母体にとって何でもない熱と湿までも濃縮されると、胎児にとってその栄養分が毒(胎毒)に転化しやすくなります。

ましてや胎児は排泄によって自分自身で熱や湿をさばけないので、胎児の身体には熱・湿が溜まる一方です。

 

生後間もなくアトピー性皮膚炎を発症した胎児の多くは、こういった要因が考えられます。

大人のアトピー~後天的要因

乳幼児期には発症せず、学齢期あるいは成人してから発症するアトピー性皮膚炎です。これは遺伝的要因よりも、後天的要因が大きく関連する場合が考えられます。

①過大なストレス

大きなストレスが長期に渡ると、気が滞り熱化します。…A

そして「運動不足・便秘・汗をかきにくい」などにより、熱が体外へ発散されずにより内側にこもります。あるいは、睡眠不足によって熱が助長する条件が重なると、余計に痒みが生じてきます。…B

 

Aの流れで、火が身体の上部に位置する肺に影響が及ぶと、「肺⇒皮膚」に損傷が及びます。

この流れをチャートにしますと、

 

A.ストレス⇒肝うつ気滞⇒B.熱化⇒皮膚の炎症症状

 

という流れのアトピー症状になります。

 

②胃腸・消化器系統の問題

胃腸は、老廃物の排泄経路のうちの一つです。ここに異常をきたす要因は、飲食不摂生によるものと、胃腸やその他の消化器系統が弱い場合によるものに分かれます。

胃腸のトラブルは、皮下組織へ悪影響、そして次第に表面の皮膚へ損傷が及ぶことがあります。

 

○飲食の不摂生
食欲旺盛で、脂濃い食べ物、甘味類、お酒、肉類、スナック菓子などの多食は、胃腸に湿気と熱がこもりやすくなります。これを専門的に脾胃湿熱と言います。

脾胃は肌と密接な関係があるので、脾胃湿熱系によるアトピーは皮膚がジュクジュクする傾向にあります。また湿熱により体臭がきつくなります。

 

○消化器系統の弱り
消化器系統の一つである脾の臓は水分代謝(水湿の運化)と気血の生成(水穀の運化)に関与します。

脾が弱ると、湿気(内湿)が溜まる方向性と、気血を生成する働きが弱くなる(気虚・血虚)方向性が出てきます。

脾の臓の弱りにより内湿が水毒に転化することで、皮膚組織から皮下へ損傷が及びやすくなります。

③血液の滞り

血液の滞りを、専門的に「瘀血(おけつ)」と言います。この言葉は、もしかして、一般の方でもご存知の方がおられるかもしれませんね。

 

瘀血は色々な原因でなり得るのですが、主要なものとして、①のストレスの長期化が挙げられます。これを専門的には肝うつ気滞血瘀(けつお)といいます。

この場合、皮膚が黒ずみ鱗のようなものが出てくることがあります。これを専門的に「肌膚甲錯(きふこうさく)」と言います。

④長期化した内熱により陰分の損傷

or水のエネルギー不足

 

内熱が長びくと、それが身体の深いところに潜り込みます。漢方医学では気が流れている部位の深さを表すものさしとして、衛分・気分・営分・血分と表現します。

内熱が深いところに位置する営分・血分に潜り込むと、身体を潤す気(精血・陰液)が損傷を受けます。すると、身体は余計に熱をこもりやすくなり、皮膚も乾燥しやすくなります。

 

営血分に熱がこもると、深夜、発作的な痒みが出るのが特徴です。

 

精血の損傷が与える臓腑への影響として、肝腎の弱り、特に腎陰虚がアトピーに関与すると治りにくい面があります。

 

腎陰虚の虚火と肝うつ化火の実火、同じ火でも、虚実の違いがあり、両方あるとしても、主従を判別できなければなりません。

また、生まれつき肝腎のエネルギーが不足している場合もあり、このエネルギーが不足している場合は、身体の潤いが少なくなり、この場合も皮膚が乾燥しやすくなります。

以上のように、漢方医学では、皮膚と各内臓の関係性を踏まえて、アトピー性皮膚炎の原因を検討していきます。

そして、どの内臓に、エネルギーの過不足が生じて、症状発症に至ったのか、この個々に異なる病理分析を行っていきます。

確かな症状分析に基づいた鍼灸の施術であれば、ステロイド剤を適宜使いながらでも、脱ステロイドによるリバウンドの影響を極力少なくしていくことが可能です。

最終的にステロイド剤に頼らなくとも平気な状態、つまり

 

炎症体質の改善

 

を目指していきます。

まとめとIさんの施術の再分析

以上、代表的な「アトピー体質」として、幼少期からのアトピーと、大人のアトピーのメカニズムをご紹介しました。

実際の臨床は、このようにきっちり分けられず、虚実が入り組んでいます。

 

そこで、先ほどのIさんの症例を実例として、ご紹介します。

 

〇小学校入学後

家庭環境の経過と食事の経過から、

 

「①過大なストレス」+「②飲食の不摂生」

 

〇18歳の就職時

初めてのお仕事で、更に職場の人間関係から

 

「①過大なストレス」

 

〇26歳の妊娠中~流産後

妊娠中、自身のエネルギーを胎児に供給することで、腎陰の低下があったものと思われます。また、流産によるショックで、

 

④長期化した内熱により陰分の損傷

or水のエネルギー不足
+

①過大なストレス

 

によるアトピーでした。初診の時点で、④と①の、解決すべき優先度は、

 

④>①

 

でした。

こうして、改めて、患者さんの症例を整理することで、その方の体質の弱点を理解しやすくなります。

 

施術の成果は、いかに術者が患者さんの病態を正確に把握できるかに掛かっています。なぜなら、術者が把握している範囲でしか、施術成果が現れないからです。

実際、Iさんへの施術のときも、その通りでした。私が、方針が定まらないときは、Iさんは不安を感じていたのでしょう。

 

その一方で、私の方で、カルテを見直し、処置を改めて、その処置で間違いないと明確になったことで、Iさんの症状、そして精神状態も緩解に向かいました。

 

施術が緩解したことにより、よりIさんに、私の説明を納得して、聞いていただけるようになりました。

そのおかげで、Iさんも、ご自身のアトピー体質のメカニズムや、日常生活で気を付けるべきことを、ご理解されたことも、アトピーが緩解した要因の一つです。

 

このように、アトピー体質を克服するには、

 

自分の体質を理解し、
アトピーに繋がる生活習慣を避ける

 

これが、アトピー症状を根本的に克服する、一番の方法である、と考えております。

 

ここまでの当ページの内容が、あなたのアトピー体質が改善する、何かしらの参考になれば何よりです。

もし、上記の情報をご覧になられて、アトピーを克服されたい方は、是非、当院にご相談くださいませ。


あなたのアトピー体質を明らかにしたうえで、アトピー克服までの道のりを最短距離に進めるようにさせていただきます。