漢方医学による婦人科疾患の全体像とその解決法

チャート図で分かる婦人科疾患

漢方医学では、
月経前症候群・生理不順、
子宮筋腫・子宮内膜症、更年期障害、
どんな婦人科疾患でも、

問診や体表観察を通じて、

「五臓六腑の関係性」

「気血水のエネルギー循環」

の状況を把握していきます。

その際、特に、
婦人科疾患の舞台である子宮を中心に、
子宮と関わる各種臓腑の関係性に着目します。

子宮を中心とする女性生殖器は、
主に次の臓腑の機能によって養われています。

 

・肝臓:子宮を養う気血の運搬を担当
・脾臓:子宮へ運搬する気血を生成
・腎臓:子宮を中心とする生殖器の機能を補助

 

肝脾腎は、次のような要因で、それぞれのトラブルが生じます。

 

運動不足→肝臓が管理する筋肉・筋膜内の気血の循環障害

ストレス・過度の頭脳労働→肝臓の機能亢進→気血の循環障害

飲食の不摂生→脾胃への負担→栄養過多による老廃物の形成

先天的・後天的虚弱体質=脾腎の機能の弱り→気血水の不足と熱エネルギーの低下

自然との接触頻度の減少、特に大地との繋がり低下→身体上下のアンバランス

これらのトラブルは、
相互に絡み合い、
別の病理へと派生します。

そうなると、子宮環境が乱れ、
生理不調や各種の婦人科疾患に
至りやすくなります。
これを、婦人科疾患の流れとして、
大まかにまとめたものが、
下のチャート図になります。

婦人科疾患の流れとチャート図

上のチャート図で、

「運動不足」
「過度の頭脳労働」
「自然との接触頻度の減少による大地との繋がりが低下」は、

体内のエネルギー循環の停滞(実)をもたらします。

気血水のエネルギー循環の停滞で、
最も頻繁に起こるのが気の滞りです。
これを「気滞」といいます。

この気滞が強すぎたり、
長期化すると血流も悪くなります。
これを「気滞血瘀」といい、
いわゆる血行不良です。

気滞血瘀は、当然、
女性の骨盤内の血流にも
大きく影響します。

エネルギーの停滞(実)を考えたら、
今度は、反対の側面、
エネルギーの不足である
「虚」を考慮する必要があります。

 

女性なら、
過労や生理出血によって起きる
「気虚」「血虚」の存在です。

気虚や血虚は、
体のだるさ、ふらつきの要因になります。


実際の臨床では、
各種の婦人科疾患に至る要因は、
個々によって異なり、
人によっては複数の要因を
併せ持っている場合があります。

その場合、
どの要因から解決していくべきか、
優先順位を見極めるために、
問診や体表観察で検討していきます。

肝の臓に異常が起きると、
この行動の調光スイッチにも異常が起こり、
感情の調節が制御できなくなります。

それが、
肝の臓の異常として
表現される「怒」です。

 

「怒」、いわゆる「怒り」は、

「イライラ・暴力的になる・食欲や性欲が増す」
などの興奮性から

「やる気の低下・抑うつ・不安・涙もろい・クヨクヨ考える」
などの沈静性


といった、感情とそれに伴う行動に影響します。

 

あるときには興奮性の感情が、
またあるときには沈静性の感情が現れる、
情緒不安定な状態です。

 

こちらの記事からの抜粋。

この肝うつ気滞から始まるPMSには、
お一人お一人異なる状態に合わせて
「気」を巡らしていくことが、
漢方鍼灸の施術法です。


前項の説明にもあったように、
肝うつ気滞以外には、
背後に、「気血」の不足が
隠れている場合があります。

あるいは、
飲食の不摂生により、
「水」の停滞が関わる場合もあります。

その場合、
これらの問題の優先順位を、
個々のお体によって見極めていくことが、
施術上、最も大切です。