『身口意ととのう脳活』の事例紹介

『身口意ととのう脳活』の具体的事例

『身口意ととのう脳活』でやろうとしていることは分かりました。

実際に、どんなことするんですか?

簡単にいえば、問いかけによって、過去記憶の意味付けを修正していくことです。

では、実際にどのように修正していくのか、事例をご紹介していきますね。

 

イメージによる未完了の感情解放

実際の具体例をご紹介します

100均で売っている「あるアイテム」で、ネガティブ感情が解放するんですよ!

イメージが症状を作り出している

ここで、精神症状の一例として、実際に当院に来院された患者さんへの対応をご紹介します。

 

2020年7月〇日、40代半ばの女性Mさんが来院されました。

当初の主訴は、「呼吸困難」

 

その他の症状として、

・じっと座っていても、目の前がチラチラして、頭の血の気が引いて、意識が遠のくようになる。ときに、脳が下に垂れ下がるような感覚、頭がグワングワンとして、目を開けてられない。

・手足の脱力感、ときにふるえる

・体がだるい

など。

社会情勢からくる精神から肉体への影響

症状が出るまでの経緯を伺うと…

2020年4月下旬、コロナによる自粛時期、小学校4年生の長女が、突然、不安感を訴えて、そこから「不眠、食欲低下、訳もわからず何かに恐がる」といった状態に。

検査をしても原因が分からないまま、5月から2カ月ほど、学校や病院のへ付き添いをして、毎日、心配で仕方がなかったとのこと。

 

そういった流れで、娘さんの体調は戻っていくも、今度は、6月中旬から、Mさん自身が、上記のような症状を自覚するようになったそうです。

当初、鍼で、呼吸困難や手足の脱力感は緩和していきました。しかし、頭の症状として、「血の気が引く感覚」は減りつつも、「脳が下に垂れ下がる症状」は一進一退が続いていました。

イメージによる場面設定と感情処理

そこで、再度、カウンセリングしました。内容は、1日の場面で、不安を感じやすい状況、そして逆に、どうなったら理想か、2回に分けて確認しました。

1回目と2回目、それぞれの不安と理想の状況は…

 

<不安を感じやすい状況>
1回目:朝の起床時、「今日も大丈夫かな」と思いながら、1日が始まる。

特に、週に何回か、娘さんの授業を後ろから見守っている際、座っているだけで、脳が垂れ下がる感覚が出てくる。

2回目:美容院で洗髪の際、椅子が後ろに倒れたときの不安感

<理想の状況>
1回目:以前のように、普通に起きられるようになる。

2回目:車に乗って墓参りに出掛けられるようになる。

 

そこで、イメージの力を利用して、不安を感じる場面、理想の場面をイメージしてもらい、それぞれ消去、固定する取り組みを、2回にわたって行いました。すると、上記の頭部症状が、起こらない日が続くようになってきました。

 

この取り組みの中で象徴的だったのが、ご自身の体調への不安感は、10年前の流産、そしてその後の耳鳴を発症したときの「恐れ」と結びついてしまったことです。

この10年前の「恐れ」が消化しきれていなかっために、長女さんの体調不良をきっかけに、フラッシュバックしたために起きた現象でした。

「恐れ」の場面をニュートラルに捉える

2回目の感情処理で、「恐れ」に焦点を絞った、いくつかのやりとりを行いました。

たとえば…

 

「恐れ」は人間の生理的機能と備わっているものだから、「恐れ」に対して過剰に恐れなくていいこと。

「恐れ」の場面があったことで、その後、受けた恩恵を思い浮かべる

 

などといったやりとりです。

すると、ご本人の中で、「恐れ」に対する価値が変化したようで、朝、起きても不安を感じる程度が減っていったそうです。

まとめ

このように、過去の未完了の感情が、その後の人生の、不安を感じる場面と紐づいてしまうことで、肉体症状を引き起こす場合があります。

当院では、精神症状であっても、まずは、肉体的な状況から良くしていくことを基本としてます。それは、肉体から精神への働きかけを期待しているからです。

しかし、今回の症例の患者さんのように、肉体では、症状の緩和が困難な場合には、直接、精神面に働きかけることで、問題解決の一つの方法です。

 

その際、感情、思考、あるいはそれらを支える価値観で、どんなパターンがあるのかを見つけることは、とても重要なことです。

今回のMさんの様々な肉体症状でいえば、子供という大切な存在の危機に伴う「恐れ」が引き金となって現れたものだったということです。

 

最後に、精神・肉体、どちらの症状であっても、答えは患者さん自身の中にあります。今回の症例を通じて、いかに、その答えを、患者さんの内側から引き出し、それを適切に活用できるかが、術者の役割であることを再認識させていただきました。

(感情処理の方法は、主にイメージの力を活用します。本症例では、イメージの消去と固定に、100均で売られているペンライトを使いました)

その他にも、こんな例があります。

ある20代の女性の患者さん。当初、生理前から生理時の、イライラや生理痛といったPMS症状を緩和するために、鍼治療を受けに来院されました。

鍼でおおよその、PMS症状を緩和しつつも、ついハマってしまう、その人のパターンがありました。それは…

心理背景

<家族関係>
互いにいつもなじり合う、不仲の両親の3女として生誕。
いつも相手のせいにして感謝し合えていない二人。
互いの悪口を子供に言う。
そんな両親を反面教師にしている。また、姉2人、両親に反抗。特に、
 
 
長女VS父  次女VS母
 
 
の構図を見て育ったので、自分は「いい子」を演じようとしてきた。そして、自分のしたいことがあっても、周りの空気を読んで合わせてしまう。

自分のやりたいことがあってもことごとく否定されてきた。価値観を尊重されず、心配と言われ、常識を押し付ける。

合わないことであっても見た目上、上辺だけやりたいように見せてきた。

1回目のセッション

現状:鍼治療を受けながら、ようやく自分のやりたいことに気づけ、今の会社を退社して、次の仕事先が決まっている(大阪から東京に戻る)。だけど、そこから自分が進む道が、これでいいのか分からない。

これ⇒タイの子どもたちの支援をしていくこと。大学4年のときに、半年、タイの少数民族のボランティア活動をした。そこで、「家に壁が無い、手で食べる」など日本の価値観と真逆の文化に触れて、生きることはこれでもいいんだと思えた。

(そのように実感したのは、上記の両親との葛藤が関係している)
 
 
理想:自分のやりたいことを明確にして、他者貢献している。
課題:現会社で、営業(飛行機の貨物)で100万円以上の案件の成約を取ったことで、上司にも仕事ぶりを認められている。それなのに、退社が決まり、その後、これから具体的な一歩を踏み出せない。
 
 
このことをセッションとして扱いました。そこで、テーマが「実行力」なので、右頬を下げながら、
 
課題=理想ー現状
 
を一枚の用紙として眺めたときの状態を感じてもらいました。
 
 
すると、何かに挑戦するときに必ず両親の反対があったということが場面として出てきました。
その象徴が、大学受験で自分が本当は行きたい大学があったけど、両親の勧めで行きたくない大学へ進学することになったそうです。
 
両親が当該患者さんを否定する場面を思い出してもらって、そのときの状態に浸ってもらいました。
 
 
そのときの感情として「悲しい」が浮上してきて、悲しみを味わってもらいました。その後、理想の設定で当時の両親に伝えられなかった「本当は、自分のやりたいことがある」をイメージの両親に伝えてもらって、1回目のセッションが終了しました。

2回目のセッション

現状の課題を明確にするシートの一部

<本人記載のシート添付写真より抜粋>
1-①
理想:何を理想としているか?何をポジティブに感じるか?
⇒日々、前向きに大切に自分を高め、周囲に感謝を持って貢献すること。

理想が実現することで、困ることは何か?
⇒絶望的だと感じている両親との信頼関係を築かねばならないのでは…(向き合おうとすると疲れる)

1-②現状

理想と比べて、現在の自分の状態は?=何をネガティブと感じているか?

両親、二番目の姉との関係性
(筋反射で母との関係性を扱う)

現状のままで、いいことは何?
面倒なこと(ストレスを与え合うような状況)を避け、過去を振り返らずに済むこと

 

2 課題=理想ー現状

3 表の課題

両親と和解はしたものの、分かり合えない(信頼がない)状態がベースとなっており、関りを避けてしまうこと

以上のことをテーマに、今回のリフトアップ2回目で扱いました。

1-② 現状の掘り起こし
お母さんとの関係性において問題になった場面を思い出してもらう。

(細かいいきさつは聞いていないのですが…)
当該患者さんが、大学生のときに「お母さんに幸せになってほしい」と伝えたそうです。(両親が不仲でケンカして、母親が泣いている場面と言っていたかもしれません)

すると、

母:「私はガマンすればいいんだ」
患:「ガマンしないで、自分が幸せになること考えなよ」
すると、母は泣いて家を飛び出した。それ以降、母との関係性でしこりが生じ、タイに行くことになる。

ここで、当該患者さんは、「私が子供だから、まだ私が母親を受け入れていないんだ、努力しなきゃ」と思われたそうです。

この掘り起こした内容に対して、「自己否定・感情」でどちらで対応するか、筋反射テストをとると自己否定という回答。

左頬を下げながら、いくつかの自己否定の中で、行き止まりの状況を描いたメッセージを読み上げると、しっくりくるとのこと。

母親とは何を言っても分かり合えない感じがする、イメージが出てくる。
それにまつわるエピソードで、両親との関係性について友だちに相談したら、親への感謝が足りなからではと言われた。そこで、母親に感謝の想いを伝えたところ、かえって母親になじられた経験がある。

だから、そんな母親とは、どうやっても分かり合えない。

何をしても分かり合えないという場面を味わってもらうと、「悲しい」という感情が浮上。

そこで、「悲しみ」を中和するワークを実施。

②理想:母親に私の気持ちを分かってもらいたい
③理想の状態になったとしたら不都合だったこと
⇒ここが本人、ピンと来てなかったので、こちらの援護射撃として、逆に、理想の母親で無かったおかげで得られたメリット(恩恵)を思い浮かべてもらいました。

母親が反面教師になった以外は、ピンとこなく、ワークが一時停滞。

そんな母親だったから、「タイにいったときに感動したのでは」とか、試練の反対の支援をしてくれた人たちの顔を一人ずつ、思い出しもらったところ、ワークが進んでいきました。

すると、同時に④もクリア。

さらに、本人に、「お母さんは、あなたが感謝を伝えて、それをなじったのは、上辺だけの感謝だったのが、お母さんに伝わってしまったのでは」と言うと…

本人、「そうっか、私、ずっといい子ちゃんを演じてきたんだ、それで取り繕っていたんですね」と納得。

お母さんはお母さんの問題があって、それは本人が変わろうとしない限り変わりません。そんなお母さんであっても、Iさんが悲しみが解消された今、お母さんにどうなってもらいたいのかと、本当の理想(本心)を尋ねると、

「今のお母さんのままで幸せになってもらいたい」とのこと。

そこで、それを理想の状態として、言葉にして出してもらい、筋反射をとると、バシッ!と決まりました。

さらに、当初の「シート」の理想の状態を読み上げてもらうと、ここでもバシッ!と決まりました。

以上で、2回目のセッションが無事終了。

患者さんも、これまで解決するとは思えなかった母との関係性が進展しそうと、泣いて喜んでいただきました(^^♪

その方から『身口意ととのう脳活』を受けられて、こんな感想をいただいています。

漢方鍼灸院 大阪市てんま吉祥堂