症例1 月経前症候群/月経前緊張症(PMS)
患者:女性 41歳 事務職
初診日:2010年8月16日
20代後半よりPMSになった。生理1週間前になると、
イライラ、気持ちの落ち込み、攻撃的になる
頚が突っ張る・肩が重だるくなる
眠くなる
といったPMS症状が顕著になる。仕事中は特にイライラ、眠くなるのが気になる。
<増悪因子>
仕事先での人間関係でイライラしているとき
春先~夏、今年の夏は特にきつい(2010年夏)
<緩快因子>
生理後(生理痛がきつい時ほど感じる) イライラは冬(生理痛は寒いときつくなる時がある)
<生理に関して>
生理時の下腹部痛
〇首・肩のこり(生理時更に増悪)
〇腰痛
〇雨の日の体が重だるくなる
〇花粉症
※解説イラストは表記上、裸モデルを使用していますが、実際は服を着用したまま、診察・施術を行っております。
高校時代 過食症で嘔吐癖、顎関節症になった。
当時、父親が会社内の立場が落ちたことで、家で常にイライラしていて、家庭内の雰囲気が悪かった。
そのため、自身も精神的に荒れていた時期だった。
短大 私生活が充実し、精神的に落ち着き、過食症が緩和。
20歳 就職。忙しかったが、周りの先輩が面倒見が良く、楽しく働ける職場だった。残業があっても疲れにくかった。
20代後半になると、疲れが溜まりやすくなり、それと共にPMS症状が現れ出す。
当時、交際していた男性と別れた。
30歳~ 30代前半は、職を転々としていた。
32歳で転職した会社を1年間で退社した後、次の職場が見つからず経済的に不安な状態が続いてた。
33歳で自律神経失調症。生理前になると微熱が続いていた。
35歳 現会社に就職。
【漢方医学的診断】
肝鬱気滞化火・血瘀
【施術】
イライラによって生じた気の停滞と気の上衝(俗に言う、頭に血が昇った状態)を引き下げるツボを適宜、1・2穴選択
西洋医学では、PMS(月経前症候群)の原因として、女性ホルモンが関わるとしていますが、明確な発症機序(メカニズム)が特定されていないようです。
一方、漢方医学では、2000年以上前に、既にPMSの発症機序が明らかにされています。
その発症機序の中に、特に精神面の関与を重視しています。
人は精神的に伸び伸びしていると、気もスムーズに流れ、行動面も伸び伸びしやすくなります。
この精神的の伸びやかさと気の流れを管理するのが、「肝」の臓です。
また、肝の臓は、血液を貯蔵する役割を担っています。
なので、女性の場合、生理前は、肝の臓の負担が、通常より一層増えます。
日頃から、過度なイライラ・緊張・我慢を溜め込んでいる場合、気もスムーズに流れにくくなるため、肝の臓に余計な負担がかかります。
そうなると、生理機能にも多大な影響が及びます。
以上のことから、漢方医学的観点に立てば、PMSの代表的な肉体症状、精神症状は、肝の臓のトラブルによるものが多く見受けられます。
このトラブルが与える整体への影響は、体表上に現れており、最新の検査機器でなくとも、原始的な体表観察で確認できます。
本患者さんにおいても、その痕跡がお体にしっかりと現れていました。
そこで、治療ではイライラによって生じた気の停滞と上衝を緩和するツボを選択しました。
初診時が生理2日目の来院で、2カ月間ほぼ週2回で治療を行ったところ、1か月後、2カ月後の生理の際、若干のイライラ感はあるものの、攻撃的な精神状態が緩和していったそうです。
そして次第に、日常生活でも精神的に落ち着いていくのに伴い、身体的症状も緩和してきました。
誰しも生きていれば、怒り、心配、不安など、心が揺さぶられる事態に遭遇することと思われます。
それが積み重なり続けると、その影響がいずれ肉体に及んできます。
そうなる前に、まずは体の緊張を緩めることで、日常が過ごしやすくなります。
漢方鍼灸は、あなたが抱える体の重荷を軽減するお手伝いすることができます。
※こちらに、本症例の患者さんの喜びの声を紹介させていただいています。
『PMS症状』鎮痛剤やピルより効果的な解決策とは?について詳しくはこちら
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