不妊鍼灸の症例報告 症例1 PMS・パニック障害・花粉症改善そして妊娠・出産

不妊鍼灸の症例報告

症例1 PMS・パニック障害・花粉症改善そして妊娠・出産

患者:女性 35歳 パート勤務

初診日:2010年10月4日

<不妊に関して>
結婚してから2年(同棲して8年)。

4年ほど前から子作りを意識するも、SEXレスの時期もあったため、お互い変に気を遣いがち。

夫の兄夫婦が出きっちゃた婚で子供が誕生し、それに対してショックを受けた。

また、そのことで夫両親に気を遣わせているのを感じる。

そして義父からの悪気のない、赤ちゃんへの期待感に対しプレッシャーを感じる

生理周期が40日だったこともあり、同年8月より婦人科へ通院。

画像診断にて子宮に関しての問題なし。

10月に子宮内膜がやや薄いということで、黄体ホルモンの注射を受けた程度で、不妊治療に関してタイミング指導を受けている。

<生理に関して>
元々は28日周期だったが、義兄夫婦側が先に赤ちゃんが誕生したことに対してショックを受けて以来、ここ4ヶ月は34日から40日と周期が不定期になった

元々、生理1週間前から下腹部、腰が痛くなって、めまい、気分がイライラするなど月経前症候群(PMS)の症状がある。

〇パニック障害 経過は、既往歴~現病歴参照

〇花粉症 25,6歳より、毎年春先になると花粉症の鼻水に悩まされる。

〇のどのつまり

※解説イラストは表記上、裸モデルを使用していますが、実際は服を着用したまま、診察・施術を行っております。

<幼少期~小学校>
たまに風邪引く程度で、基本は健康。

小学校から徐々に太ってきた。

<中学校>
バスケ部に所属したことで、標準体重に近かった。

中2から3年までの1年間、更にやせようとダイエットを始めるも拒食症になり、生理が3ヶ月以上止まった時期があるなど、生理周期が不安定だった。

中学3年間は体重に対してナイーブな時期だった。

<高校>
クラブ活動に熱中し充実していた。

この頃は生理周期が安定していた。

<20歳からの就職以降>
美容部員としてやりがいをもって仕事ができた。

24歳で重要なポジションも任され、仕事に対してかなり自信をもってできていた。

27歳、仕事で挫折し、以前の様に強気で仕事が出来なくなった。

次第にストレスが溜まっていき、喉が腫れて40度の高熱、右頚部に約3cm大のシコリが出来る、またある時には血尿で半月休職するなど、体調が悪化していった。

28歳、別店舗へ異動したことで、気分的に楽になった。

32歳(2007年11月) 結婚退職

32歳(2008年7月) 仕事を辞めてホッとした反面、夫と同等の収入が無くなったことにより、次第に自己の喪失感を感じるようになる。⇒逆流性食道炎

同年10月~11月 パニック障害発症

生理時の夕方、突然、手足が振るえ、貧血様に立ちにくくなった。

その翌日、動悸・胸苦しさが続くようになり、以降1年間、電車に乗るときなど、突発的に発作が起きるようになる。

心療内科を受診、デパス、加味逍遥散を処方される。

ここ1年はましだが、狭い空間に行くことに対し、不安感がある。

34歳(2010年12月) 最近、パートに行くようになり、いい気分転換が出来るようになった。

【漢方医学的診断】
心肝気鬱・気滞血瘀

【主な施術】
施術初期:神道(風邪の治療の際は除く)

施術中期:至陽、後谿、太衝、百会から一穴

妊娠後:つわり時に打鍼治療など適宜対応

ご来院に至るまでの経緯に、当然ながら、患者さんそれぞれの人生の物語があります

従って、当院の漢方鍼灸では、初回の問診で、来院されるまでの経緯を詳しくお伺いし、その人に合わせた治療を行うことを心掛けています。

本患者さんは不妊治療の目的で来院されました。

しかし、その前に「逆流性食道炎、パニック障害、生理周期の不安定」を改善させることが優先になります。

これらの症状は、経過から分かりますように、ストレスから来る気の停滞とそれに伴う熱性の体質からくるものと診立てました。

そこで、治療初期において、

「気の循環を良くする」「余分な熱を取り除く」

この二つを目標にして治療を行いました。

治療を行う過程で、徐々にイライラ感やみぞおちの痞え感、そして時々起きる動悸、胸苦しさ、不安感も軽減していくなかで、治療開始から3ヶ月目くらいから生理周期・基礎体温が共に安定してきました。

治療を開始してから4ヶ月ほど経った春先になると、毎年の花粉症による鼻炎症状が改善しているのも実感。

そして治療経過中、2011年7月8日の37診目の治療の際、自然妊娠の5週であることを、ご報告いただきました。

以降、週1回の通院により、つわりもあまり無く、そして一時期逆子になるも、すぐに元に戻ることを経て、無事出産されたそうです。

本患者さんが抱えていた、不妊症、パニック障害、花粉症などその他諸々の症状、これらは西洋医学では、それぞれ婦人科、心療内科、耳鼻科が対応します。

一方、漢方鍼灸では、複数の科をまたぐ疾患を抱えていても、少数鍼で対応が可能であることを知っていただけましたら幸いです。

こちらに、本症例の患者さんの喜びの声を紹介させていただいています。

漢方鍼灸院 大阪市てんま吉祥堂