ステロイド剤との上手な付き合い方

ステロイド剤との上手な付き合い方

アトピー性皮膚炎・蕁麻疹など皮膚の炎症性疾患で皮膚科を受診された方のほとんどは、おそらく、これまで何回かステロイド剤を処方されてきた経験があるでしょう。

ステロイド剤は、正式にはステロイド系抗炎症薬と言われ、主に抗炎症作用と免疫抑制作用などを期待して用いられます。

 

このステロイド剤の使用には、メリットとデメリットがあります。

そのメリット・デメリットについて、「抗炎症作用」「免疫抑制作用」「ステロイド剤を離脱する場合」、これら3つの観点から考察することで、「ステロイド剤との上手な付き合い方」の当院の見解を公表します。

抗炎症作用としての観点から

皮膚の炎症を火災に例えるなら、皮膚は火災現場、ステロイド剤は燃え盛る火を消す水に相当します。

その意味で、ステロイド剤を使用するメリットは、一定期間、炎症反応が抑えることで、痒みが緩和するので、痒みによる二次的ストレスが減少することです。

 

しかし、このステロイド剤は、火災原因である火種に作用しません。

アトピーやじんましんなどの火種とは、炎症体質です。

皮膚炎の根本原因である炎症体質そのものを変化させることはないのです。

 

だから、症状が一時的に緩まるからといって、炎症体質を助長するような要因が日常生活で加わると、ある時期からステロイド剤が効きにくくなることがあります。

これが、抗炎症作用としてのステロイド剤のデメリットです。

 

次に、もう一つの免疫抑制作用の観点についてもみてみましょう。

免疫抑制作用の観点から

免疫とは、体にとっての異物を外に排除しようとする反応のことを言います。

免疫は、私たちの肉体を守るために闘ってくれる、体本来の機能です。

 

免疫作用がはたらくと、体に熱が生じます。

同様に、風邪などの発熱も、一種の免疫反応です。

その意味で、皮膚炎は、体内に異物が存在し、それを排除しようとしてくれている表れとも言えます。

 

排除すべき異物が、質量ともに程度が大きかったりする場合、皮膚に炎症反応として強く現れます。

あるいは体自体が弱っている場合においては、ちょっとした異物に対して、その抵抗反応として、持続的に皮膚に炎症反応が起き続けます。

いずれの抵抗反応でも、皮膚炎と共に伴って現れるのが、痒みです。

 

痒みが著しくきつい場合、ステロイド剤の免疫抑制作用によって、一時的に痒みを回避できます。

この痒みの回避が、ステロイド剤の免疫抑制作用としてのメリットです。

 

しかし、何らかの理由(要因)があって、免疫作用として皮膚に炎症が起きています。

だから、いつまでもステロイド剤を利用し続けていると、その理由を無視することになります。

つまり、免疫抑制作用としてのステロイド剤の使用のデメリットは、不適切な使用となれば、皮膚炎が出ざろうえない理由を誤魔化し続けることになりかねないことです。

 

「抗炎症作用」「免疫抑制作用」いずれのステロイド剤のデメリットは、ステロイド剤の薬理作用よりも、ステロイド剤の使い方による問題です。

また、ステロイド剤の過剰依存による酸化コレステロールの蓄積が、更なる炎症反応を招くケースにおいても、ステロイド剤の副作用とも見れると同時に、使い方の問題とも取れます。

ステロイド剤を離脱する場合の観点から

これまでは、ステロイド剤を使用するうえでのメリット・デメリットをみてきました。

今度は、ステロイド剤を辞める場合のデメリットについて考えてみましょう。

 

ステロイド剤を辞める場合のデメリットとして、よく知られているのが、リバウンドです。

リバウンドは、それまで抑えていた免疫作用の再発動による炎症反応です。

 

この再発動による炎症反応は、抑えていたものを解放するので、以前にも増して、炎症反応が強く出ることがほとんどです。

これを症状の悪化と捉えるか、それとも正常な反応に戻ったと捉えるかは、術者と患者さん、どちらの立場に立つかで大いに異なります。

当院のステロイド剤に対する考え

これら、ステロイド剤のメリット・デメリットの両面を踏まえると、当院の方針として、急にステロイド剤の使用を中止することは、お勧めしていません。

根本的な炎症体質改善となる処置を施すことがメインに置きつつ、痒みによってストレスが増す際には、

 

二次的ストレスを軽減するために使用する

 

当院では、これが、ステロイド剤との上手な付き合い方だと考えております。