暑かった夏を過ぎ、秋になると増えてくるのが呼吸器系の症状です。
中でも多くみられるのが、長引く咳です。この長引く咳を、現代医学では「咳喘息」と言います。
一般的な気管支喘息との区別は、
咳喘息:気管の炎症
気管支喘息:気管支の炎症
です。
咳喘息は、風邪を引いた後に、2~3週間以上、咳だけが続きます。
咳という症状だけに、呼吸器系の問題として捉えがちです。
しかし、咳という症状にいきつくまでには、個々により異なります。
漢方医学では、咳に至る要因として、
①胸郭内の熱:肺に熱がこもる
②胸郭内の乾燥:肺が乾く
③胸郭内の冷え:肺に冷えが入る
④消化器系の冷え:脾胃の冷えが肺に伝わる
⑤精神的ストレス:気が突き上がる
⑥疲れ:体力消耗
などを想定しています。
それぞれの違いは、次のようになります。
①②③は、主に肺が区分される胸郭内の問題です。肺は五臓六腑の中で最表層に位置し、最もか弱く、そして他の臓腑の影響を受けやすい臓です
胸郭内が、熱・冷え・乾燥に偏ると、肺の呼吸機能が阻害されます。
①②の場合の多くは、乾いた咳です。
発症要因は、「肺に連なる皮膚・鼻から入る風熱邪」「内臓の熱が肺に伝わる」「肺や他の臓腑の潤い不足」
が考えられます。
③④の場合の多くは湿った咳で、痰を伴いやすくなります。
発症要因は、
③気温低下によって、肺に連なる皮膚・鼻から冷えが入ってくる
④消化器系の冷えが肺に伝わる
といったことが考えられます。
①~④に更に、⑤精神的ストレスにより、気の巡りを管理する肝の負担が増すことで、肺機能の回復に影響が及びます。
肝気の興奮状態の時、全身の筋膜が緊張しています。筋膜が緊張すると、ちょっとした刺激に反応しやすくなります。
いわゆる、過敏状態です。
特に横隔膜が緊張すると、その上に位置する肺も過敏になります。
そして、体内の気の巡りが上方に偏よるために、咳が頻繁に出るようになります。
⑥は、例えば夏の疲れ、仕事や運動による過労など、体力消耗がある場合です。
体力消耗の場合、
消化器系統の脾胃(後天の元気)
生殖器・泌尿器の腎(先天の元気)
の機能低下が考えられます。
脾胃と腎、いずれも胸郭より下に区分されます。
この場合、咳という呼吸器症状を緩和させるために、胸郭より下に区分する脾胃と腎の機能を上げて、体力を回復させることが最優先になります。
以上のように、漢方鍼灸では、呼吸器系の症状の由来を、多角的に見極めていきながら施術をしていきます。
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