症例2 ストレス障害(適応障害)
患者:女性 30歳 会社員
初診日:2011年7月30日
〇倦怠感、息苦しさ、頭痛、悪寒、イライラなどストレス障害(適応障害)に伴う諸症状
〇1年半の無月経
〇首・肩・背中のこり
※解説イラストは表記上、裸モデルを使用していますが、実際は服を着用したまま、診察・施術を行っております。
26歳 結婚するも、姑との不仲により、1年半で離婚。
28歳 離婚後、再就職した会社の上司に理不尽な対応され、ストレスが溜まりやすくなった。
次第に、息苦しさ、頭痛、悪寒など、自律神経失調症様の諸症状が現れる。
週末は寝込み、仕事も休みがちになったため、1年ほど、呼吸器科・脳神経外科など受診するも、全て無効だった。
29歳 精神科を受診し、適応障害と診断される。
【漢方医学的診断】
心肝気鬱
【施術】
初診から3診目まで、後谿に古代鍼
以降、後谿と百会を使い分ける。
適応障害とは、ある社会環境においてうまく 適応することができず、様々な心身の症状を呈する症候群であり、職場不適応や登校拒否(不登校)などと呼ばれます。
適応障害の症状は多彩で、
不安、 抑うつ、焦燥、過敏などの精神症状、頭痛、不眠、食欲不振、腹痛などの身体症状、遅刻、欠勤(不登校)
などです。
そして、次第に対人関係、社会的機能が不良となり、引きこもってうつ状態となります。
適応障害は、皇室の雅子様が罹ったことで、広く知られるようになった精神疾患です。
西洋医学による治療法として、まず会社、学校を休むというように、ストレス因子を遠ざけること。
それ以外には、カウンセリングや、諸症状に対しての投薬が挙げられますが、これといった決め手となる治療法がないようです。
一方、漢方医学では、精神疾患であっても、他の疾患と同様に、まず身体の状態を整えることを最優先にします。
本患者さんの場合、26歳で結婚してから、お姑さんとの不仲による離婚と、勤務先の上司の理不尽な言動に対するストレスが重なったことで、次第に頭痛、息苦しさを感じるようになる中で本症状が発症されたそうです。
また数々の医療機関を受けるも、なかなか症状の改善がみられなかったということで、半ば諦めの境地の来院でした。
こういった患者さんの場合、身も心も憔悴しきっているため、非常にデリケートな対応が求められます。
実際に、始めの3回目まで、古代鍼による、刺さないで皮膚に触れるだけの鍼を施しました。
鍼治療を重ねることで、次第に頭痛や倦怠感が減り、約1年半の無月経状態も解消されるようになり、会社に出勤しても早退することが減ってきたそうです。
そして身体的な症状が改善していく中で、適応障害までに至る、本患者さんの考え方の癖についても、少しずつ自覚できるようになった、と伝えてくださりました。
また、仕事の方では、得意の英語の能力を活かして、海外企業に対しての通訳を任されたり、新しい部署に抜擢されるなど、様々な好転する事態が生じるようになったそうです。
心療内科・精神科疾患でお悩みの方で、これまで様々な医療を受けても、なかなか改善がみられないのであれば、漢方鍼灸という対処法もあるということを、心の片隅に置いていただければと思います。
※こちらに、本症例の患者さんの喜びの声を紹介させていただいています。
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