婦人科疾患改善の症例報告 症例4 3年間の生理不順と、お腹の張り

婦人科疾患改善の症例報告

症例4 3年間の生理不順と、お腹の張り

患者:女性 28歳 学生

初診日:2012年 5月24日

①生理不順
10代は28~30日周期で5日間の生理だったのが、3年前より生理不順になり、3ヶ月こないこともあった。

3ヶ月ぶり来たときの生理出血は量が以前より少なめで、色もやや薄めだった。しかし、その次の生理が半年後だった。

婦人科受診、画像検査では異常発見されず、生理を誘発するホルモン剤により生理がきた。

その後28日周期が2~3ヶ月続いたが、再び3~4ヶ月の1回の生理に戻る。

②お腹の張り
昨年の6月より、徐々にミゾオチから下腹部にかけて張りやすくなる。

この頃より便秘・下痢になりやすくなった。 (元々、3~5日に1回のコロコロの便秘傾向)

<増悪因子>
脂濃いなど消化に負担のかかるものを食べたとき、睡眠不足、梅雨時期など湿度の高い日

<緩解因子>
よく眠れたとき、運動後

〇肩こり

〇指先に湿疹ができやすい

〇疲労時の高音の耳鳴

※解説イラストは表記上、裸モデルを使用していますが、実際は服を着用したまま、診察・施術を行っております。

高校卒業後、エステサロンに就職。

24歳で、エステの施術の幅を広げるために、東洋医学を学ぼうと決意して、他県から大阪府内の鍼灸専門学校に入学。

この頃より、生理の周期が乱れる

専門的な知識を学べる喜びを感じ、学校は楽しく通学できていて、特にストレスの自覚無し。

飲食店のアルバイトの帰宅時間が午前0~1時と遅く、就寝時間が遅くなりがちだった。また、毎日飲酒する

<その他の情報>
夜、外食が多く、食事時間が定まっていない。また焼肉、焼き鳥など濃い食べ物を好む。

3日に1回の大便が便器につきやすく、黒い。

特に、ストレスの自覚無く、ストレスによる下痢になるか不明。

おりものが黄色でドロっとする。

食欲あるものの食べなくてもいい状態。⇒陰陵泉

この日に生理がくる。

7診目 前日より喉の痞え、食べるとミゾオチも痞える。ネットリ便。おなかぽちゃぽちゃ。胃内停水として、陰陵泉+足三里

8診目 喉が詰まり、お腹の張りが出そうな予感 まだネットリ便 右豊隆

9診目 お腹の張り、軽減 肩の重だるさ 百会右

10診目 右肩こり 左後谿で治療終了

生理不順は、様々な要因で起こりえます。

中でも肝うつ気滞によるものが多く見受けられます。

肝うつ気滞とは、簡単に言えば、ストレスが日々重なることによって、気が停滞して現れる症状群のことをいいます。

このストレスの存在を、本人が自覚している場合と、自覚していない場合があります。

仕事が忙しかったり、人間関係の問題を抱えている人でしたら、たいてい本人はストレスを自覚している場合が多い。

しかし、本患者さんは、試験勉強によるストレスは感じるものの、学校やアルバイトは楽しいとのこと。

日々の生活からは、ストレスを感じさせる存在は問診からは確認できませんでした。

ご本人に性格について尋ねると、人見知りはするものの、明るい性格で、「何とかなるさ」と悩みを溜め込まない方、と、一見ストレスからは無縁の生活を送っている方のような印象があります。

しかし、実際に、お身体を拝見すると、ストレス反応と関係しやすいツボにしっかり反応が顕著に出ていました。

ストレスによる気の停滞に、更に飲食の不摂生により、湿痰邪の停滞が加わり、より気血が停滞しやすい状態になっていました。

そこで、漢方医学的な診断では、ストレスによる肝鬱気滞と飲食不節による湿困脾土による「生理不順とお腹の張り」として治療を行ったところ、比較的、早期に生理不順が回復されました。

また、「便秘と下痢」を繰り返すのは、湿痰邪が腸内を圧迫すると「便秘」、それが排出されると「下痢」になるものと推察されます。

大腸と女性器が部位的に近いことから、腸内環境が生理状況に大きく関わることを実感した症例でした。

こちらに、本症例の患者さんの喜びの声を紹介させていただいています。

漢方鍼灸院 大阪市てんま吉祥堂