症例4 肩こり、耳鳴、頭痛、胃痛、扁桃炎

症例4 肩こり、耳鳴、頭痛、胃痛、扁桃炎

患者:26歳 女性 休職中

初診日:2010年9月25日

肩こり、耳鳴、頭痛、胃痛、扁桃炎など各種不定愁訴

〇肩こり(右>左)
張って固まっている感じ。ひどい時は背中から腰まで固まる。
右前腕~手に欠けて痺れてお箸や包丁が持ちにくい。

〇疲労時の腰痛
〇アレルギー性鼻炎

※解説イラストは表記上、裸モデルを使用していますが、実際は服を着用したまま、診察・治療を行っております。

4歳 髄膜炎
中学生 片道2時間かかる学校に通学していた。この頃より、頭痛が出てきた。

18歳 以前より、生理痛がきつくなり出した。

19歳 飲食関係のお店に就職。

22歳 百貨店で美容部員として勤務。元々、美容系の仕事がしたかったこともあり、楽しく働けた。

24歳 会社が倒産し、失業。半年間無職で、燃え尽き症候群のようになって、体調を崩す。
気分的に塞ぎ込んでいた時期。
両手のひらから肘にかけての湿疹。

25歳 その後、いくつかの仕事を経て再就職するも、8月に退社。
退社前後、喉痛になる。内科受診後、アレルギー用の喉薬で治癒。

その後、ディズニーランドに行った翌日に、喉痛が再発。その後に、耳の裏(耳下腺)が痛んだ。

高熱(39℃手前)。悪寒と発熱の繰り返し。口苦、咽乾、目眩(本人曰く、方向転換が無かった)、食欲低下。点滴と抗生物質にて解熱(発汗した)。

【漢方医学的診断】
肝鬱気滞、少陽気分の湿熱邪

【治療】
少陽部位の気血の停滞を取り除くためのツボへ一穴選択。

主訴の一つの扁桃炎は、2010年8月の半ばに風邪をきっかけに発症しました。

この時の風邪の状態は、


39℃手前の高熱、寒気と発熱の繰り返し、口が苦く乾く

方向感覚がなくフラフラする、生臭い黄色の痰
耳の裏の痛み、食欲低下


などです。


受診された耳鼻科で処方された抗生物質、点滴などで発熱症状を中心とする風邪症状は収まるも、扁桃炎は取れない、

その他に、肩凝り・肩甲骨の張り・頭痛・耳鳴・右腕のシビレ・右太もも後面の突っ張り

などの症状もあるということで、当院に来院されていたお母様の紹介で、ご来院されました。

本患者さんの様に、風邪引き後に、発熱は収まったけども、咳や喉の痛みがなかなか抜け切らない事があります。こういう時、多くは、風邪引き前の整体の状態が影響しています。

なので、問診で風邪を引く前の状況を確認することがとても大切です。


例えば、食べ過ぎ、疲れが溜まってなかったかなどです。

すると、主訴発症の2週間ほど前に派遣で勤めていた会社を解雇されたことによって、ストレスがかなり溜まっているとのこと。


また、3年前からストレス時に耳鳴が生じやすい、雨降り時に頭痛が生じやすい、など元々、整体の側面を走行する少陽部位に気血水が停滞しやすい体質要因がありました。


このことから、治療として、

気の上衝を引き下げる
こもった熱を除去する

ために、肝の気の巡りを良くしながら、少陽部位の湿熱邪を取り除く治療を行ったところ、扁桃炎の方は早期に改善しました。

一方、肩凝り、耳鳴、頭痛の方は、症状として長いものなので、情緒面の変動によって一進一退の面があったものの、徐々に軽減していきました。


この様な喉痛の他にも、咳や微熱など、なかなかスッキリしない風邪の残余症状があります。この場合も、同様に、風邪引き前の整体の状態・生活環境などが大きく影響しています。なので、単なる風邪治療を施しても、なかなか治りません。


長引く、一見、風邪様の症状は、細菌やウイルスなどの外的要因を相手にするより、内的要因としての体内環境を整えることを主体にする。それで、症状が一早く改善されやすくなることをご理解いただければと思います。

漢方鍼灸院 大阪市てんま吉祥堂