症例2 耳閉感の伴う耳鳴と特発性難聴
患者:女性 17歳 学生
初診日:2011年12月16日
①右耳の耳鳴
高校入学以降、テスト勉強後、耳鳴になった。高校2年生の4月以降は頻繁に鳴り出した。キーンとする高音。時折、耳閉感も伴う。
<増悪因子>
テスト期間
②左耳の特発性難聴
小5(’05年)の春に、検診にて発覚。
当時は高音のみ。当時、本人の自覚が無かった。
耳鼻科を受診したところ、めまいの薬を処方され、1カ月服用するも改善しなかった。
高校入学以降、低音が聴きずらくなってきた。
左側から話しかけられると、聞こえない。
〇生理痛がきつく、バファリンを飲んでいる。痛みの性質は鈍痛。
痛みの部位は下腹部を中心に、ミゾオチのあたりまで痛む。
生理周期については既往歴を参照。
また、生理周期に伴う主訴の変化は、初診時には分からなかったが、治療経過で耳鳴が緩解することで、生理中(2・3日目)と右耳鳴の相関性に気付いた。
〇中学生以来、右側頭部痛(ズーン)
〇左右のふくらはぎが痒い
※解説イラストは表記上、裸モデルを使用していますが、実際は服を着用したまま、診察・施術を行っております。
小学校4年の時に、両親が離婚⇒このことに関しての、情緒面の変化は、本人曰く覚えていない。
小学校5年 主訴発症
中学校 バレー部所属
中3 右手が、時々、勝手に痺れたり震えたりすることがあった。
10歳で初潮、小学校の時は周期が不定期で、3Wに1回。
中学校では28~30日周期。高校では40日から1ヵ月半の周期。
生理痛は中学生になって以来きつくなっている。
高校入学以降、勉強を頑張り出して以来、右耳に耳鳴が頻繁に現れる。寝起きが悪くなる。
【漢方医学的診断】
家庭環境やテスト勉強のストレスが積み重ねっての肝うつ化火
【施術と経過】
百会の右側or左側、申脉、後谿をする中で、まず右耳鳴が軽減。
6診目(’12年1月20日)で、ほぼ気にならなくなる。
左耳の難聴は、以前より聞こえるようになったものの、なんとなく聞こえる程度。
11診目(4月12日)には、耳鳴はほぼ完治。
13診目(5月24日)難聴は以前より聴こえやすくなったものの、まだ不自由がある様子を確認。
一度左少沢、少衡へ刺絡(点状に出血させる)を施したところ、難聴が明らかに改善。
その後、英語のリスニングテストで左耳からでも音が聴き取れるようになった。
本患者さんは、耳鼻科にて、特発性難聴と診断されたそうです。
一般に、「特発性疾患」とは、原因不明な疾患とされています。
しかし、漢方医学的な問診と体表観察によって、精神的ストレスが、耳への何らかの悪影響を及ぼしたことは、明らかでした。
漢方医学では、どんな疾患であっても、症状の背景である生活状況や精神状態についての確認しながら、全身と局所の兼ね合いを診ていくことを重視します。
それにより、病院で行われる局所的な検査で原因不明であっても、漢方医学の観点からみれば、原因が明らかな場合が多々あります。
その意味で、漢方医学的な鍼灸の存在意義や価値を実感させていただいた症例でした。
※こちらに、本症例の患者さんの喜びの声を紹介させていただいています。
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