自律神経の乱れって、どうすれば改善できるの?

自律神経系失調症は、西洋医学では、「交感神経と副交感神経のバランスが慢性的に崩れている状態」として、認識されています。

と言っても、その自律神経のアンバランスを取り戻すような有効な処置は、現時点では見つかっておらず、個々の症状に対する対症療法がメインになっています。

それでは、崩れた自律神経のバランスを取り戻すには、一体どうしたらいいのでしょうか?

自然と自律神経の関係性

「新陳代謝」とは、簡単に言えば、必要なものを内に入れ、不要なものを外に出し、古いものが新しいものに入れ替わることです。

自然界は、新陳代謝の破壊と創造によって、「循環」「転換」「再生」を繰り返すことで、成り立っています。

人体においては、「飲食物の摂取と排泄」「呼吸活動」「血液循環」などの機能によって、細胞・組織が日々、生まれ変わっています。

これらの機能こそ、自律神経が管理している人体の新陳代謝機能です。

新陳代謝機能に負担が掛かると、疲れやすくなります。

実は、「疲れ」が自律神経が乱れる要因です。

つまり、

「自律神経の乱れ」「新陳代謝への負担」「疲れ」

いずれも同じような意味で、文脈によって使い分けられている言葉と思っていただいて結構です。

では、漢方医学では、どのように「疲れ」の状態を見極めていくのでしょうか?

漢方医学は自律神経症状をどのようにみていくのか?

漢方医学では、疲れの状態を測るものさしとして「虚実」を設定し、「エネルギー循環」と「内臓機能」の不調を見極めていきます。

では、それぞれの不調をどう見極めていくかについてご説明いたします。

エネルギー循環の不調

エネルギー循環の不調は、単純に言えば、エネルギーの「過剰(停滞)」と「不足」の問題です。

漢方医学では、このエネルギー過剰・停滞を「実」、エネルギー不足を「虚」と表現し、「疲れのものさし」として設定し、気・血・水3つのエネルギー循環の不調を見極めていきます。

それぞれに、次のような問題が挙げられます。

 ・実
気滞(気の停滞)
瘀血(血の停滞)
湿痰(ネバネバして、潤す用途をなさない余計な水)
・虚
気虚(活動エネルギーの不足)
血虚(身体組織に栄養を与える血の不足)
陰虚(身体組織を潤す水の不足)

それぞれの「虚実」は、次に説明する「内臓機能の不調」と大きく関わります。

内臓機能の不調

自律神経症状に関わる内臓機能の不調は、主に肝臓、脾臓、腎臓の不調を起点とするものが、多くみられます。

漢方医学が認識する内臓機能の不調は、西洋医学的検査での、画像や数値に示されるものとは、全く異なります。

さて、これらの内臓機能の不調は、個々の内臓の場合もあれば、一つの内臓機能の不調が別の内臓機能の不調を引き起こすというような場合もあります。

三臓の関係性は、下の図のように、腎臓を土台にして、肝脾の2つの内臓が両端になって、互いにシーソーのように、生体内のバランスを維持しています。

肝・脾・腎の三臓は、それぞれの機能を果たしながら、互いに協力し合う関係を保ちながら、人間の生理・精神・行動などの様々な活動を支えています。

また、三臓は、次のような精神活動があるとされています。

腎臓は「目的・目標を定め、ものごとをやり遂げようとする精神 例)根気」

脾臓は「目的のために、あれこれ思慮する精神 例)智恵」

肝臓は「思慮したことを行動に移すための精神 例)勇気」

そのため、各臓の不調は、次のような精神面の不調として現れやすくなります。

・腎の機能低下=腎虚⇒根気が続かない

・脾の機能低下=脾気虚⇒思考力の低下

・肝の機能亢進=肝鬱気滞⇒常に過緊張

下の図は、肝の機能亢進が脾の機能低下をもたらして起こる下痢を簡易的に示したものです。

頑張り屋さんタイプの下痢症状

体内で繰り広げられる戦い

気血水のエネルギーは「正気」、そして停滞したエネルギーは「邪気」と呼ばれます。

私たちの体では、常に、邪気と正気の戦い「邪正闘争」が繰り広げられています。

従って、「邪正闘争」の状況が、「疲れ」ひいては、病気・症状の行方に大きく関わります。

「疲れ」における、「邪正闘争」の主な舞台は、肝・脾・腎の3つの内臓になります。

邪正闘争の末、正気が邪気をやっつけることができれば、内臓やエネルギーの不調が改善に向かいます。

それにより、新陳代謝も回復して、結果として自律神経失調症に現れる各症状も緩和しやすくなっていきます。

漢方鍼灸は、あなたの体内で繰り広げられている「邪正闘争」において、正気に援軍を送っていると認識していただければと思います。

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